穏やかな波と潮風が、高齢者の心にも学生たちの探求心にも、優しい力を与えているようですね。海の癒やしの力が、地域と人をつなぐ温かい研究へと広がっていきそうです。
障害者の社会参加を進める「ドリームやまがた里山プロジェクト」(佐藤五郎代表理事)は12日、鶴岡市加茂の渚の交番カモンマーレで、海の心理的効果を調べるイベントを開きました。
同プロジェクトは2020年から日本財団「海と日本プロジェクト」の助成を受け、障害の有無を問わずマリンスポーツを楽しむ「バリアフリービーチ」を実施しています。今年も先月22日、新潟県村上市の瀬波温泉海水浴場で、知的障害のある13人を対象に行いました。これまでには「海に入れるとは思わなかった」「サポートしてくれたボランティアの方々に感謝したい」と、車椅子生活の参加者やその家族から感謝の声が寄せられています。
今回の検証は、海や潮風が心にどのような癒やしをもたらすのかを確かめる初の試みです。この日は、鶴岡市茅原町のデイサービス「永寿荘」を利用する高齢者5人を招き、晴れ渡る海を屋上から眺めた後、海を一望できるカモンマーレで抹茶と和菓子を楽しみました。その後、新潟リハビリテーション大学(村上市)の若菜翔哉助教(理学療法学)、知名規人助教(作業療法学)、女子学生4人が「二次元気分尺度」という手法で聞き取り調査を行いました。
検証に参加した阿彦常子さん(88)は「今日は本当に楽しかった。若い学生さんたちとおしゃべりできてうれしいです」と笑顔を見せました。学生の内藤侑希さん(1年)は「私自身、悩んでいたときに波を見て心が落ち着いた経験があります。海が人の心に与える効果を、これからも先生方と研究していきたいです」と話しました。