水産実習の一環としてマガキの養殖に取り組んできた加茂水産高校(小川和彦校長)の水産科資源増殖系3年生4人が育てたマガキの試食会が11日、鶴岡市加茂の渚の交番カモンマーレで開かれました。県の関係課や県漁協、漁業者ら約20人が参加し、生徒による実習内容の説明の後、和食と洋食に調理されたマガキを味わいました。生徒たちは、味や食感、商品化された場合の購入意向などについてアンケートを行い、その結果をまとめて来年1月に成果発表を行う予定です。
同校では昨年度から、総合商社・豊田通商の子会社で再生可能エネルギー事業を手がけるユーラスエナジーホールディングスの地域共生事業の支援を受け、加茂地域でのマガキ養殖に挑戦しています。養殖技術については、徳島県のリブル社が指導しました。
「加茂港・レインボービーチ マガキ養殖プロジェクト」に取り組んだのは、板垣成(じょう)さん(18)、伊藤笑太朗さん(18)、石原聖凉音(かりん)さん(17)、高橋悠雅さん(18)の4人です。バスケット方式と呼ばれる養殖方法で、昨年度はレインボービーチで実験を行いましたが、導入した種苗の約9割が死滅しました。今年度は5月から1000個の種苗をレインボービーチで育て、成長の良い約500個を加茂港に移して養殖しました。その結果、加茂港で育てたマガキは約3倍の大きさに成長し、養殖の成功につながりました。生徒たちは「港は山からの栄養分が流れ込み、成長に良い影響を与えたのではないか」と分析しています。
試食会では、グランドエル・サンの片倉忠直総料理長が、エシャロットのみじん切りと赤ワインビネガーのソースを添えた生ガキとグラタン風の2品を提供しました。一方、庄内ざっこの齋藤亮一店長は、酒蒸しや土佐酢のジュレを使った和風料理2品を調理し、参加者が食べ比べを行いました。「海のうま味がありおいしいが、さらにコクが出ると良い」「広島のカキが打撃を受ける中、山形のカキとして売り出せたら夢がある」「夏は岩ガキ、秋冬はマガキと通年での取り組みに期待したい」といった声が寄せられました。
生徒たちは「カキを食べる機会は少なかったが、とてもおいしかった」「自分たちが育てたカキを実際に食べられるところまで来てうれしい」と笑顔を見せ、来年度以降も研究が引き継がれることを願っていました。
また、来賓として出席した県自動車販売店リサイクルセンターの菅原弘紀専務からは「カキ殻を砕いて再利用するなど、資源の活用方法も一緒に考えていければ」と、今後の広がりに期待する声が聞かれました。
高校生の挑戦が、地域の新たな水産ブランド誕生への第一歩となりそうです。